外観検査用カメラの選び方と主要メーカー
外観検査における撮像機器の構成
安定した画像検査を行うには、まずはワークを確実に撮像する必要があります。その撮像では、主に、検査対象のワークを撮像するカメラ、レンズ、ワークを照らす照明によって構成されています。高精度で安定した外観検査を行うには、「対象物を大きく映す」「ピントの合った画像を映す」「明るくはっきりした画像を映す」という3つが大切でカメラ・レンズ・照明の選定が重要になります。
今回は、それらのうち産業用カメラについて紹介します。
カメラの種類
外観検査の撮像ではさまざまな種類のカメラを使用します。撮像対象物の形状や素材、検出したい不良種類などによって、一番適したカメラを選ぶ必要があります。外観検査で利用するカメラは、大きく分けエリアスキャンカメラとラインスキャンカメラのいずれかです。
《イメージ図挿入:エリアスキャンカメラとラインスキャンカメラのイメージ図》
エリアスキャンカメラ | ラインスキャンカメラ | |
---|---|---|
価格 | 安価 | 高価 |
照明環境 | 均一な光を当てにくい | 均一な光を当てやすい |
撮像精度 | 解像度のラインナップが豊富 | 解像度のラインナップは少ないが高精細な製品がある |
扱いやすさ | 設定や設置が容易 | 検査対象を動かすため、機材の設置や速度の調整が難しい |
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エリアスキャンカメラ
エリアスキャンカメラは、対象物を面で撮影するカメラです。最も一般的に使用されているカメラであり、ラインスキャンカメラと比較すると安価です。目視と同じように撮像できることが特徴で、設定や設置も容易なことから手軽に導入できます。
ラインスキャンカメラ
一方のラインスキャンカメラは、展開図のような画像を取り込めるカメラです。素子が1列になっており、対象物やカメラを移動させて1列ずつ合成させて撮像します。コピー機やスキャナー機の光が前後左右に移動するようなイメージです。エリアセンサーでは撮像が難しい、円筒形回転物や大きなシート状の搬送物といった製品の撮像にも対応できます。
選定のポイント
《イメージ図挿入:見出し画像》
画素
画素数が大きいほど、高精細な撮像ができるカメラになります。必要画素数は、検査をしたい不良箇所を撮像した際のピクセルサイズを元に決定します外観検査で小さなキズや異物を検査するときは、画素数が大きいカメラを選びましょう。
《イメージ図挿入:30万、500万、2000万画素の比較図》
カラー・モノクロ
カラーカメラとモノクロ(白黒)カメラがあります。カラーカメラは文字通りカラー撮像ができるので、色味の違いや変化の判定を行いたい場合に適しています。一方のモノクロカメラは、キズの有無や変形などの欠陥をみつけるのに適していて、同一画素数であればモノクロカメラの方が高精細な撮像が可能です。
シャッター方式
カメラのシャッター方式には「ローリングシャッター」と「グローバルシャッター」という2つの方式があります。
ローリングシャッターは、センサー素子の上部ラインから順番に露光が開始される方式です。1枚の画像の上部と下部で撮影のタイミングが異なることから、動きのある対象物を撮影すると画像が歪みます。静止した対象物を撮影するなら解像度の割に安価なことから、ローリングシャッターのカメラを選択する方が合理的といえます。
一方のグローバルシャッターは、センサー素子のすべてのラインで同時に露光を開始して同時に終了する方式です。ベルトコンベアで流れてくる製品を撮像するような場合は、グローバルシャッターが適しています。静止した製品を撮像するならローリングシャッターのカメラ、動きのある製品を撮像するならグローバルシャッターを選ぶといいでしょう。
《イメージ図挿入:ローリングとグローバルの概略図》
フレームレート
フレームレートは「1秒間に撮像する回数」のことであり、「fps」という単位で表します。10fps前後から300fpsを超える製品まで幅広くあります。例えば、10fpsなら1秒間に10回の撮像が可能なカメラということです。外観検査はライン上で流れる製品を撮像することが多いので、重要な要素といえます。生産ラインのスピード、1つの対象物に対して何回の撮像を行うかなどを考慮してカメラを選択します。
インターフェース
インターフェースは、ケーブルの規格のことです。カメラで撮像した画像は画像処理装置やPCに送信されますが、その2つを繋ぐケーブルには規格が存在しており、カメラからのデータは解像度やfpsが高いほど大量になります。そのためスムーズに連携するにはインターフェースが重要です。カメラを設置する環境や予算から適したものを選ぶ必要があります。
Camera Link | USB3.0 | GigE | |
---|---|---|---|
最大転送速度 | 6.8 ~134.4Gbps | 5 ~ 10Gbps | 0.9 ~ 8.8Gbps |
最大ケーブル長 | 10m | 3m | 100m |
別途ボートの要否 | 〇 | × | × |
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産業用カメラを取り扱うメーカー3選
産業用カメラを取り扱っている主要メーカとその特徴を紹介します。
東芝テリー株式会社
東芝テリー株式会社は、映像の専門会社として産業用カメラ、監視カメラなどの開発・製造・販売・サービスを手がけている企業です。主な商品としてCMOSイメージセンサを搭載したDDU・BG・BCシリーズがあり、利用目的に合わせた撮像を可能にしているのが特徴です。
オムロンセンテック
FA用マシンビジョンをはじめ医療用、セキュリティ機器などさまざまな用途に対応したビデオカメラやイメージセンサー、各種アクセサリーを開発・製造・販売しています。少人数のエンジニア主体で構成されているため、映像処理技術を駆使し、多品種小ロットやカスタムなどの要望にも柔軟に対応できるのが強みです。
Hikrobot
Hikrobot は、マシン ビジョンとモバイル ロボットに特化したグローバルな製品およびソリューション サプライヤーです。産業用カメラだけでなく、レンズや照明も取り扱っており、スマートマニュファクチャリングに焦点を当てた提供をしています。
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