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外観検査とは?外観検査項目を紹介

外観検査とは?外観検査項目を紹介

外観検査とは?


外観検査とは食品、部品や製品の外観を検査することです。製品の外観としての品質が基準を満たしているか評価する工程です。

言い換えれば、製品の品質保証のために行う工程です。

製品の品質は設計・製造工程により決まりますので、不良率の低い製造工程を目指すことが基本ですが、完全に不良をなくすことを保証することはできません。

また、不良が発生した場合に、設計・製造工程への活かすためのフィードバックとして用いるためにも、検査工程は重要な役割を果たします。

 

品質問題が多発する昨今、製造業の現場では、より一層高い検査品質が求められています。

高い検査品質を目指すには、外観検査の人員を増員をしたり、検査項目を増やすこと、検査員の熟練度を上げることなどで検査品質を上げることが考えられます。

一方で、検査コストが大きいことだけでなく、製造業離れや、高齢化が進んでいるのが現状があり、検査員の負担を増やすことや、高い熟練度を期待することが難しくなってきているため、検査の自動化も重要なテーマとなってきています。

 

外観検査の項目


外観検査の項目には代表的になものとして以下があります。

形状や意匠の欠陥


製品は規格・図面等の仕様に従う必要があります。

色:色合い、色ムラ、光沢

形状:寸法、変形、欠損、欠品、位置ずれ、バリ

印字:シリアルナンバー、文字、印刷掠れ

 

表面状態の欠陥


キズ:ひっかき傷、打痕、シワ

異物:髪の毛、ホコリ、昆虫、切子

汚れ:油汚れ、指紋、錆

 

樹脂部品の不良例


樹脂部品を例にとると具体的には以下のような不良があります。

・バリ
射出の圧力が高い、型の締結力不足、変形などを原因として、金型から溶融した樹脂がはみ出た状態で固化した形状不良です。

・ヒケ
溶融樹脂が金型内で固化するときに、材料の板厚の差などによる、収縮率の差によってくぼみが生じる不良です。

・そり
離型時に加わった残留応力や外部応力などの力による変形、や金型内で溶融樹脂の流動方向などの形状に依る収縮率差で生じる変形不良です。

・シルバーストリーク

シルバーストリークは、樹脂の中で発生したガスが引き延ばされ、樹脂の表面に銀色の筋となって現れる現象を言います。不十分な成形材料の乾燥や、金型と材料の温度差で発生する水滴などが原因です。

・ウェルドライン
射出成形において、金型内で溶融樹脂が合流する部分(ウェルド)が、溝または模様として表面に現れる表面不良。
成形材料の樹脂が金型内を分岐したのち再び合流するとき、溶融樹脂の温度または、流動性が低い、または射出圧力・速度が不十分なことで、樹脂同士が完全に融合せず融着不良(V字型の溝)となってしまう成形不良です。

 

検査の基準


寸法や色、シリアルナンバーなどは数値による管理をすることが可能なので、検査の仕様が決めやすいですが、
色合い、キズ、打痕などは、検査員に依ってしまうところがあり、判定の統一化が難しい傾向があります。
従来の検査員での判定ではマニュアル、見本を作成して判定の画一化が図られます。

一般に、検査手順書や検査仕様書といったマニュアルの作成がなされたり、以下のような不良に関する見本を作成するケースがあります。

・標準見本


品質の標準を示す製品の見本のことです。こちらは良品の標準的なものを示します。

・限度見本


良品・不良品の限度(境界)を示した製品の見本です。

・不良見本


不良品の見本を示したものです。

 

検査の方式


検査工程


検査工程の方式には以下のようなものがあります。

 

・インライン検査

インライン検査とは、生産ライン内で製造中の製品に対して、製造工程中に行われる品質検査のことです。この方法では、品質管理の向上や製品の不良率低下を効率的に行えます。

一般的には、製造ラインの途中に設置されたセンサーやカメラ、計測機器などを用いて、製品の外観、寸法、機能などを検査します。検査結果に基づいて、不良品を除外したり、自動的に製造ラインの調整を行ったりすることができます。

インライン検査は、製品の品質を確保するだけでなく、不良品の発生を早期に検出することができるため、生産コストの削減にもつながります。一方で、センサーやカメラなどの検査機器の導入や設定が必要であり、投資費用がかかることがあります。

 

・オフライン検査

オフライン検査とは、製品の製造が完了した後、別の場所で行われる品質検査のことです。製品が完成してから検査が行われるため、精密な検査が行いやすいですが、手作業での運搬などが必要であったり、生産から不良品の検出までに時間がかかることがあり、コストの増大や生産効率が低い傾向にあります。

 

検査対象の抜き取り方


検査対象をどのようにサンプリングして検査するかは以下のような方法があります。

・抜き取り検査

抜き取り検査とは、製造ラインから一定数の製品を抜き取り、その製品を対象に検査を行う方法です。製造ライン上で生産された製品から選ばれた一部の製品を抜き取り、その製品を外観検査や機能検査などの方法で検査することにより、製品の品質を評価します。

抜き取り検査は、製品の品質管理において一般的な手法の一つであり、製品の品質を確保するために必要な検査です。製品をすべて検査することが難しい場合や、コストや時間的な制約がある場合にも有効な方法とされています。

一方で、当然、製品すべてを検査するわけではないので、不良品発生を見逃す可能性は増えてしまいます。

 

・全数検査

全数検査とは、製品のすべての個数を検査することです。製品がすべての工程を経て完成した後、製品を1つずつ検査して、製品の品質を確認します。

全数検査は、製品の品質を高い確度で評価することができる方法です。製品に欠陥がある場合、全数検査によってその欠陥を見逃さずに品質管理することができます。しかし、全数検査は時間やコストがかかるため、大量生産には向かないことがあります。

全数検査は、高額な製品や、人命にかかわる重要な部品や製品に対して、品質を確実に管理するために必要な場合がありますが、時間やコストがかかるため、製造業者がどのような検査方法を採用するかは、製品の品質を確保しながら効率的に生産することを考慮して慎重に決定する必要があります。