株式会社Pros Cons

外観検査の方法

外観検査の方法

外観検査を始める前に


まず、製品の外観検査を行う目的としては、以下のことがあります。

製品の品質保証


まず、品質保証とは、製品やサービスが顧客の期待や要件を満たし、不良品や問題が発生しないように、一定の品質水準を保持するための一連の活動やプロセスを指します。
品質保証は、製品やサービスの開発段階から始まり、開発、設計、製造、配送、顧客対応などの各段階で品質を管理するための手順を設計・実施します。
この中でも、製造工程以降で製品を検査する工程は、品質保証における主要な工程です。
外観検査は、製品の外観上の欠陥がないかを検査して不良を取り除くことで、不良品流出を防ぐことで、
消費者や顧客企業に対して、一定以上の品質を保証する重要な工程といえます。

製造工程の保守


検査工程では、不良を取り除くということだけが目的ではありません。
不良が大量に出てしまう場合、製品の不良の見逃しリスクも高まるとともに、不良品を見つけるための検査コストも増加してしまう恐れがあります。
そのため、不良品自体が出ないようにすることが求められます。
例えば、製造工程が、正しい手順で行われているか、生産設備が適切にメンテナンスされているかどうかを確認し、不良の発生要因を取り除く活動を継続的に行います。

製品品質の向上


そもそも不良が出にくいように製品の品質を製品設計・製造工程の改善で向上させることができます。
検査工程で発見された不良から、不良の発生原因を特定し、それが起きにくいような設計や製造工程へと改善することが可能です。

 

外観検査の主な手法


外観検査の方法には、以下の方法があります。

目視検査


目視検査は、人間の目で製品の外観の検査を行う方法です。
従来からある検査方法であり、特別に設備が必要ないので、検査のための設備のイニシャルコストが不要というメリットがあります。また、人間は、手に取って製品を回してみたり、触ってキズを判断したりなど、五感を使って判断できるという強いメリットがあります。
欠陥が非常に細かい時には、顕微鏡を使って観察するということもあります。
その一方で、検査には時間がかかる傾向あり、検査効率が低い傾向があります。その他、上記のように五感に頼る分、人によって判定のばらつきが生じたり、疲労などで見逃しが生じる可能性があります。
また、一定の水準で検査をするためには、熟練度が必要であり、教育コストがかかるばかりでなく、検査人員の募集に対して人が集まらなかったり、集まっても辞めてしまうという問題を抱える企業も多くなっています。

自動検査


検査装置とは、外観検査をカメラ・照明、制御装置などを使って製品の外観を自動で検査する装置のことです。
特に外観検査は画像を用いた検査が主流であり、画像処理を使って、キズ等の欠陥を画像から検出ロジックを構築し、自動で良品や不良品を判定することができます。

自動検査は、人間に比べて高速で正確な検査が可能です。さらに、一定の基準に基づいて検査を行うため、人間のようなばらつきが生じにくく、一貫した品質管理が可能です。
従来、画像検査は人のような曖昧な判断を要するものや、複雑な形状のものは人に比べて検査が不得手な傾向がありましたが、最近では、AIを使って複雑な形状や曖昧な欠陥をAIで精度高く判定させることができるようになっており、活用が進んできています。
コストの面では、最初は設備投資のイニシャルコストが大きいですが、ランニングコストは人手の検査に比べて小さいため、投資回収が可能か判断の上導入をします。
その他、検査をデータとして扱うので、検査データを記録しておけば、検査の履歴を追跡することができるメリットもあります。

検査方法


検査方法には、生産ライン内で検査するか、外で検査するか、また、検査する対象の選び方にも種類があります。

検査場所


・オフライン検査

オフライン検査とは、製品の製造が完了した後、別の場所で行われる品質検査のことです。製品が完成してから検査が行われるため、精密な検査が行いやすいですが、手作業での運搬などが必要であったり、生産から不良品の検出までに時間がかかることがあり、コストの増大や生産効率が低い傾向にあります。

・インライン検査

インライン検査とは、生産ライン内で製造中の製品に対して、製造工程中に行う品質検査のことです。
検査員が生産ラインの横につくケースもありますが、目での検査には時間がかかるため、高速なラインでは人での検査は難しいことが多いです。
一般的には、製造ラインの途中に設置されたセンサーやカメラ、計測機器などを用いて、製品の外観、寸法、機能などの確認をする自動検査も多く用いられます。
検査結果に基づいて、不良品を除外したり、自動的に製造ラインの調整を行ったりすることができます。

検査対象の抜き取り方


検査対象をどのようにサンプリングして検査するかは以下のような方法があります。

・抜き取り検査

抜き取り検査とは、製造ラインから一定数の製品を抜き取り、その製品を対象に検査を行う方法です。
特に、高速なラインで、大量に製品を人で検査することはコスト的・時間的に難しい場合も多くあることが、抜き取り検査を適用することになります。
一方で、全数検査をしないので、見逃しのリスクが高まります。
そこで、抜き取りサンプルの選び方が重要になります。
代表的には、ロットを分けて抜き取る方法と、各工程で少量を抜き取る方法があります。
ロットを分けて抜き取る方法は、同じ材料を使って、同じ製造装置と言ったように、同じ条件で製造された製品毎に製品の抜き取りを行うという方法です。一般に、ロットでは製品の出来栄えが近い傾向があるので、そのロットごとの品質の傾向として分析することが可能です。
各工程で少量を抜き取る検査として、管理図作成やタクトタイム管理のためなど、工程の製造装置、作業者などの作業の状態の良し悪しを判定するために行います。
これにより、最終工程での発見ではなく、設備・装置の不具合などから早期発見できます。

・全数検査

全数検査とは、製品のすべての製品を検査することです。
最終工程を経た完成品に対して、製品の品質を確認します。全数検査ですので、抜き取りに比べ、当然見逃しリスクは減ると言えると思います。
特に、高額な製品や、人命にかかわる重要な部品や製品に対して、品質を確実に管理する必要のある製品に適用します。
人での全数検査は時間やコストがかかるため、高速に大量に生産されるところでは、自動検査と組み合わせて行われることが多いです。
先述の通り自動機はコストが高くなる傾向があるので、コストとのバランスを見ながら導入の範囲やレベルを慎重に決定する必要があります。

 

自動検査に向けて


ここまで、検査の手法を説明したように、従来の自動検査のコストや精度の課題がありました。
画像検査の難しさから高い専門性が必要なことが、コストや精度の難しさの原因が必要になっている側面があります。
しかし、AIの検査が活用されはじめ、精度の高さや導入までの時間短縮が可能になってきており、
自動検査機導入が進みにくかった製品単価が低く複雑な製品でも自動検査の導入が進んできています。